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先行技術の情報提供に関するフランス特許法改正とフランス特許庁の対応

1. 2007年3月1日付け政令2007-280によってフランス知的財産法に一部改正が行われたが、新規則R612-56-1は、予備サーチレポートの作成前に、フランス特許庁が、並行出願において指摘されている先行技術に関する情報提供を、出願人に要求できること、を可能にした。

2. 米国のように先行技術情報開示が出願人の義務となっている国もあるが、フランスではそうではない。新規則R612-56-1は、“フランス特許庁は、出願人に、特許及び出願中特許以外の指摘先行文献のコピー提出を要求できること、出願と先行技術文献の関連部分を出願人が明らかにするとともにその部分のフランス語への翻訳も要求できる”、としている。

3. 政令導入時にはフランス特許庁がこの規則を実際に適用するかどうか不明であった。が、最近上記規則に基づくフランス特許庁からの通知を受ける例が続出している。

 審査官通知の内容は全て同じ定型レターの形をとっている。内容は次の通り:

“予備サーチレポート作成を要求した本特許出願の出願人は、フランス知的財産法規則R612-56-1に従い、他国での並行出願に関する審査において指摘された先行技術について出願人が所有している全ての情報を審査官に通知しなければならない。指摘先行技術が特許及び出願中特許である場合を除いては、指摘先行技術文献を提出するとともに、指摘先行技術文献(特許及び特許出願を含む)と本出願が関連する部分の明示と、その部分のフランス語への翻訳の提出が必要である。”“また回答期限は通知の日から2ヶ月でさらに2ヶ月の延長が可能である。”“回答期限までに十分な回答がないか、先行文献の提出が不可能であることを証明できない限り本出願は拒絶される。”

4. 通知への出願人の回答の内容がどのようなものでなければならないかについては現在のところ次のように不明な点が多い:

-他国における並行出願において新規性及び進歩性を脅かすと指摘されている先行技術のみの情報提供で十分なのか、あるいは米国のIDSと同様、出願人が知りうる全ての情報開示が要求されているのか、

-指摘文献の出願との関連部分をどのように出願人は選択すべきか、

-どの程度のフランス語への翻訳が求められるのか、

-要求された情報の開示が不可能である旨の理由説明はどの程度まで認められるのか、

またフランス特許庁が、出願人回答によって出願人の情報開示が完全になされたかどうかを本当にチェックするのかどうかも不明である。ただしいずれにせよ、何らかの理由で出願人による情報開示が不完全のまま特許が交付されたとしても第三者は開示不十分を理由に特許無効を求めることはできない。

5. 現行では、予備サーチレポートは、欧州特許庁が、フランス特許庁の下請け機関として作成しているので、新規性及び進歩性の判断においてもその体裁においても欧州特許庁のそれと全く同じという保証があった。が、今後はフランス特許庁が、出願人からの開示情報とフランス特許庁自らの調査を加えて独自の予備サーチレポートを作成する予定があることが伝えられている。

6. 上記を総合すると、EP出願やPCT経由EP出願に比べてフランス国内特許出願が持っていた長所が今後失われる可能性がある。

20007年12月17日から有効となる予定のEPC2000も、規則141によって先行文献の開示を欧州特許庁が出願人に要求できる旨定めているが、関連部分の欧州特許庁公用語のひとつへの翻訳は一切要求されていないことも付け加えておく。

©Cabinet Beau de Loménie/2007年7月



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