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共同体特許制度設立への取り組み

欧州連合(EU)全域(現在25カ国)で等しく一つの特許として特許権を認めようとした共同体特許条約は、1975年12月15日に署名されたが、結局発効には至らなかった。

2003年3月3日、“国際競争”欧州(閣僚)理事会に参加したEU加盟各国産業大臣は共同体特許実現のため共同政策をとることで全会一致の合意に達した。

2004年3月と5月、共同体特許制度欧州規則案が欧州(閣僚)理事会に提出され議論されたが、加盟各国産業大臣は、特に特許誤訳を原因とする特許侵害紛争をどう処理するか、について意見が合致せず規則案は採択されなかった。

EU議長国はこれに伴い共同体特許制度欧州規則案の議論継続のための方法を模索中である、との声明を出した。

今回議論された共同体特許制度欧州規則案は次の内容を含んでいる:


1.      裁判システム

リュクセンブルグに、第一審にあたる共同体(欧州連合)特許裁判所(CPC)が、2010年までに創設される。控訴審は既に存在する共同体(欧州連合)一審裁判所(CFI)が管轄となる。共同体特許裁判所は、既存の欧州裁判所システムに統合される。

共同体特許裁判所(CPC)裁判官は欧州特許庁の公用語(英仏独)のうち少なくとも1ヶ国語を話すことが要件であり、技術鑑定人の補佐を受ける。

共同体特許裁判所(CPC)の管轄する裁判の使用言語は、被告の居住地(欧州連合加盟国のいずれかの国)の公用語が採用されるが、場合によっては、他の加盟国の公用語がそれに変わって採用されることもあり得る。

一審のCPCも控訴審のCFIも共同体(欧州連合)欧州裁判所システムの一つとして機能し、共同体特許の無効、特許の保護範囲の制限、侵害、侵害行為がない旨の宣言、特許実施に関わる紛争、特許先使用に関わる紛争、暫定禁止、損害賠償請求、などの訴訟について独占管轄権を持つ。

共同体特許裁判所が創設されるまで、中間措置として、欧州連合加盟各国が指定する、限られた数の各国裁判所が共同体特許に関する紛争を取り扱うことになる。


2.      共同体特許の言語

共同体特許出願は(欧州特許出願の指定国の一つとして扱われるので)、欧州特許条約の規定が適用され、欧州特許庁公用語(英仏独)のいずれかで行い、交付の段階で請求項部分を他の欧州特許庁公用語2カ国に翻訳する。

共同体特許は、適当な期限(特許交付から9ヶ月)までに、請求項部分の、欧州連合全加盟国(現在25カ国)語への翻訳が、出願人の負担で、求められることになろう。但し、加盟国自身が、それら翻訳は不要と決定すればこの限りではない。


3.      費用

共同体特許維持年金額は、平均的欧州特許の(各国)維持年金合計額を越えることがないよう配慮される予定である。また、年金は特許存続期間に反比例して高くなるよう設定される。


4.      加盟国各国特許庁の役割

共同体特許維持については、欧州特許庁が主な役割を果たし、共同体特許審査と交付に関しては、欧州特許庁のみに権限が与えられる。

ただし、共同体特許出願自体は欧州特許庁、あるいは、欧州連合加盟各国特許庁を通して行うことができる。

欧州連合加盟各国特許庁に、先行技術調査の欧州特許庁下請け機関としての地位が与えられる予定である。


5.      共同体特許関連収入の分配

共同体特許維持年金は欧州特許庁に支払うこととなる。同収入の半分は欧州特許庁が確保し、各国特許庁の先行技術調査下請け費用を含めた諸費用がこの収入でカバーされる。

残りの半分は加盟各国特許庁に配分される。

ただし共同体特許制度は、さらに以下の手続きを経た上でなければ実現しない:

-        上記の共同体特許制度欧州規則案が、欧州理事会及び欧州議会で採択されなければならない、
-        次に、欧州連合(EU)を欧州特許条約の加盟単位として認め、欧州特許庁が共同体特許を交付することができるようにする為には、欧州特許条約(EPC)を改正する必要がある、
-        欧州特許条約改正のためには、欧州特許条約加盟国外交官会議が条約改正の署名を行った後、欧州特許条約加盟各国(現在28カ国)が改正条約を批准する必要がある。

©Cabinet Beau de Lomenie/2003年3月/2004年8月



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