| 欧州特許 |
|
 |
はじめに
I - 特許要件
II - 欧州特許出願
III - 方式審査
IV - 欧州調査報告書 (サーチレポート)作成
V - 出願特許と調査報告書の公開及び審査請求
VI - 実体審査
VII - 指定国国内特許として登録する手続き
VIII - 異議手続き
IX - 抗告手続き
X - PCT国際出願が広域特許条約である欧州特許に入る時
終わりに
はじめに
略してEPCと呼ばれる欧州特許条約は1973年10月5日ミュンヘンで調印された。
同条約が発効したのは1977年10月7日で当時7カ国が批准した。 2004年4月現在の加盟国は28カ国である。(但しスイスとリヒテンシュタインは一つの指定国として指定できる)
欧州特許条約の主目的は、単一の出願手続きと単一の審査手続きによって出願者があらかじめ指定した複数の加盟国においての特許権を出願者に与えることにある。
欧州特許出願の際、指定できる欧州特許条約加盟国は以下の通り:
オーストリア、ベルギー、ブルガリア、スイス及びリヒテンシュタイン、キプロス、チェコ、ドイツ、デンマーク、エストニア、スペイン、フランス、フィンランド、英国、ハンガリー、ギリシャ、アイルランド、イタリア、リュクセンブルグ、モナコ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スエーデン、スロベニア、スロバキア、トルコ
欧州特許条約に加盟していない リチュアニア、ラトビア、アルバニア、クロアチア、マケドニアの5カ国についても拡張指定国としてそれぞれの国毎に超過指定料金を支払って指定することが可能である。
欧州特許の存続期間は出願日より20年間。欧州特許が付与されるまでの年金は欧州特許庁に支払う。最初の年金支払は出願日より数えて3年目に行う。それ以降欧州特許付与が公開された年度までの年金は毎年欧州特許庁に支払う。
それ以降の年金は各指定国、拡張指定国の特許庁に支払う。年金の支払がなければ支払のない指定国、拡張指定国における欧州特許は無効となる。
I 特許要件
欧州特許条約によれば、産業上利用することができ、新規性があり進歩性のある発明に対し特許が付与される。
a)特許の対象から除外される発明
欧州特許条約52(2)では特許の対象から除外される発明分野のリストを掲げている。その中にはビジネスモデル、コンピュータプログラムなどが含まれている。特にビジネスモデル発明そのものに対しては特許は与えられないことがいくつかの抗告廷判例によって確立している。一方コンピュータープログラムに関する発明は、ソフトとハードの一般の相互関係を超えて更なる技術効果を現わすならば現在のところ特許が与えられている。ただし、コンピューター関連発明に関して欧州連合が欧州指令案*を提案中であり、議論の結果によっては、コンピュータプログラムの特許としての保護範囲が将来変更される恐れもある。(*欧州連合と欧州特許庁は別々の条約によって構成される独立した機構ではあるが、欧州連合加盟国と欧州特許条約加盟国がほぼ重なる現状では、欧州連合単位での法的決定は、欧州特許庁に重大な影響を与える)
また欧州特許条約53b)によれば、植物あるいは動物を創造することを目的になされた植物種、動物種、もしくは生物学的過程に関する発明、但し微生物学的過程及びその過程を経て得られた製品はこの限りではない、は拒絶される。
b)産業上の利用
農業を含む全ての産業で製造されたり使用されたりすることが可能な発明は産業上利用することが可能とみなされる。
欧州特許条約52(4)条にはたとえ産業上利用できても、発明が人間あるいは動物に対する外科的、治療的な処理方法または診断方法に関するものである時には特許は付与されないと定められている。但し上記の外科・治療・診断のそれぞれの方法を実施するのに使用する製品(物質あるいは構成物質を含む)は特許付与の対象となる。
ここで大抗告廷の有名な審判、いわゆるエーザイ判例〔1984年12月5日審判/第二薬効/エーザイ-欧州特許庁広報1985年3掲載〕を引用しておく。同審決によれば、ある特定の病気の治療〔その治療方法が新規で、また自明のものでない場合に限る〕に有効な薬品を製造する為に既に良く知られた物質を使用することを開示した発明には特許が付与される。一方、その物質をそのまま治療方法として使用することを開示した発明には特許は付与されない。
また判例によれば美容上の処理方法は52(4)条範疇に入らないので一般には特許付与が可能なはずである。しかし治療方法と美容上の処理方法の境界を見極めることは時には困難なことがある。
b) 新規性
欧州特許条約54条は先行技術(技術状態)の中に見つからない発明は新規であると定めている。
先行技術(技術状態)とは、その発明の欧州特許出願日あるいは優先日以前に公衆が近づくことのできた世界中のあらゆる技術のことをいい、その中には書式によって公開されたものだけでなく口頭で公開された技術も含まれ、また公開手段にはあらゆる手段が含まれる。
更に、ある発明の欧州特許出願日あるいは優先日以前に出願された別の欧州特許出願が存在するとする。その別の欧州特許出願の公開日が、ある発明の欧州特許出願日及び優先日より後になったとする。この場合でも、その別の欧州特許出願は、ある発明の欧州特許出願から見て、先行技術であるとみなされる。
但し、上記は、両欧州特許出願の指定国が同一である場合だけ適用される。
欧州特許庁審査部は新規性を限定的に解釈する。化学の分野では一般に、ある化合物群の存在によってある化合物の新規性が否定されるとは解釈されない。
c)進歩性
欧州特許条約56条には発明は、先行技術(技術状態)に照らし、発明分野で相当の知識を有する者(当業者)にとってその発明が自明のものでなければ、進歩性を含む、と規定されている。
進歩性があるかどうかの判断にあたっては、新規性があるかどうかの判断のようには、出願が前で、公開が該当する欧州特許出願より後になった、別の欧州特許出願は考慮されない。
欧州特許庁抗告廷の幾つかの審決によれば、発明に進歩性があるかどうかは、次のような“問題の解明とその解決”というアプローチ方法を使って判断されている。
-最も近似の先行技術は何か?
-発明がとりあげている解決すべき問題とは何か?
-発明によって本当に問題は解決されたか?
-その解決方法はその先行技術に照らして自明のものではないか?
II 欧州特許出願
a) どこで出願できるか?
欧州特許出願はミュンヘンの欧州特許庁またはオランダのハーグにある欧州特許庁支部で出願できる。更には、欧州特許条約加盟国の国内法がそれを定めていれば国内特許庁での出願も可能である。例えばフランス、英国、イタリアなどの各国特許庁へ欧州特許の公用語(仏語、英語、独語)を使って欧州特許が出願された場合、その特許庁への出願日がそのまま欧州特許出願日として扱われる。
b) 出願言語
欧州特許出願は公用語としている仏語、英語、独語の3カ国語のうち一つを選んで出願しなければならない。
しかしながら欧州特許条約加盟国在住あるいは加盟国内に営業所を持つ出願人で在住国の公用語が欧州特許の公用語でない場合、または欧州特許の公用語以外の国語を持つ加盟国国民が海外に在住している時、それらの者は自国語(例えばスペイン語)で出願ができる。この場合、定められた期限までに公用3カ国語のうちのいずれかに翻訳が必要である。
c) 出願に必要な書類
欧州特許出願には以下が必要である :
-出願願書
-発明の詳細な説明、必要ならば図面
-請求の範囲(1つまたはそれ以上のクレーム)
-要約
-必要な費用の払込
d) 優先権
優先権の主張の為には優先権主張宣言書、優先権証明書、また優先権証明書を公用3カ国語のうちの一つに翻訳することが求められる。
優先権付き欧州特許出願にあたっては、優先出願日と出願国名を明らかにしなければならない。
優先権書類は優先日より16ヶ月以内に届け出なければならない。
但し、1998年12月22日付欧州特許庁長官の決定(1999年1月1日より実施)により優先出願が以下のものである時には優先権証明書の提出は不要となった :
-欧州特許出願
-日本特許出願または日本実用新案出願
-欧州特許庁または日本特許庁で出願された(同2特許庁を受理特許庁とする)PCT出願
2002年7月1日から優先権書類の翻訳期限は出願毎に審査官が求めた段階で提出するか、遅くとも欧州特許条約規則51(4)条に定められる期限までに提出すること、となった。審査官が審査中に優先権書類の翻訳を求める主な動機は、優先日と欧州特許出願日の間にその出願の特許性を脅かす別の出願があることがわかって新規性を確かめる必要があるときである。
更には、上記優先権書類の翻訳は欧州特許出願と優先出願とがその内容において全く同一である時には必要ではない。その場合には、出願人は、“欧州特許出願は優先出願をそのまま完全に翻訳したものである”旨の宣誓書を提出しなければならない。
e) 国の指定
出願人が特許による保護を得たいと希望する欧州特許加盟国の国指定を、願書に記載することによって行う。また指定国指定手数料は欧州調査報告書(サーチレポート)公開から6ヶ月以内に支払わなければならない。
1999年7月1日より、手数料1指定国分の7倍の金額を支払えば全加盟国を指定したものとみなされる。
また指定国のうち一部の指定を放棄することも特許付与の段階迄ならいつでも可能である。しかしこの逆に指定国手数料支払い期限以降にあらたに指定国数を増やすことは不可能である。
拡張国を指定することも可能である。拡張国は欧州特許条約加盟国ではないが特許を翻訳することによって欧州特許を国内特許として認めている。拡張国指定料を支払う必要がある。
f) 発明の開示と請求の範囲について
欧州特許条約83条は、“発明は、発明分野の相当の技術を持つ者(当業者)がその発明を実施できる程度に十分に、明確にまた完全に開示されなければならない”としている。
一方欧州特許条約84条は“請求の範囲は求められる特許の保護範囲を限定できるように書かなければならない。その記述は明確で簡潔でなければならずまた詳細な説明部分を根拠としていなければならない”としている。
上記の規定を満たす為、欧州特許条約は生物学的分野の発明に関し特別の規則を設けている(欧州特許条約規則28)
微生物学的過程、あるいは微生物学的過程を経て得られた製品に関する発明の中に微生物の使用が含まれていて、しかもその微生物が一般公衆には接近が不可能でまた当業者がその発明を実施できるように欧州特許出願明細書に記述することが不可能なものである時、上記83条の取り決めを満たすには、該当微生物株を(欧州特許庁によって)認定された微生物寄託機関に寄託されなければならないものとする。
寄託は欧州特許出願の前に行わなければならずまた出願公開の日にはその微生物株分譲を寄託機関に対し要求すれば実施できる状態になければならない。
しかし、出願人は、“欧州特許付与公開の日又は欧州特許出願が取り下げられるか拒絶される日までは、その微生物試料は、要求するものが指名する鑑定人にだけ(寄託機関より)提供される事とする”という要請書を欧州特許庁に提出することができる。
鑑定人を指名しなければいけないという選択を出願人ができるのは、濫用を防ぐ意味では価値があるが、一方で鑑定人は一般公衆を代表しないという理由によって抗議の対象になることもある。
III 方式審査
欧州特許条約80条には、欧州特許出願日が与えられる為に必要な事項が列挙されている。欧州特許庁受理課は、これに従って、不備のある欧州特許出願に関して、一ヶ月以内に不備を正すようにまた訂正のない場合出願は不受理となる旨通知する。
また同受理課は、発明者の記載のない欧州特許出願に対しても発明者を明らかにするよう出願者に通知する。
出願者が不備を訂正しない場合出願は取り下げられとみなされるか拒絶される。あるいは不備の内容によっては一部の特徴が取り下げられたとみなされる。
IV 欧州調査報告書(サーチレポート)作成
方式審査の後、欧州特許庁調査部が欧州調査報告書を作成する。この報告書には出願された発明に特許を付与できるかどうかを決定するにあたって考慮しなければならない先行技術が記載される。
また調査部が発明の単一性の基準に照らして問題があると判断した時は、特許請求の範囲の部分で第一番目に主張されている発明、または発明概念に沿って、部分調査報告書を作成する。同時に出願者に対し、出願特許に盛られている残りの発明、発明概念に対しても調査が必要である時は、期限内に追加調査費用を払ってそれを調査部に要求するよう通知する。
審査の過程で調査部の発明の単一性についての判断が誤っていた(出願特許ははじめから単一性を保っていたと審査部が判断した時)と判断された場合には出願人は要求すれば追加調査費用の払い戻しを受けられる。
また追加調査費用を出願人が支払わなかった場合には残りの発明群については特許出願が取り下げられたとみなされる。ただし、残りの部分について分割出願を行うことは特許交付料と印刷料を支払うまで可能である。
欧州調査報告書受領後、出願人は記載先行技術に照らして意見書を送ったりあるいは/またはそれに加えて請求項や説明部分の記載の補正を行うことができる。
V 出願特許と調査報告書の公開及び審査請求
欧州特許出願は出願日あるいは優先日から18ヶ月を過ぎた段階でできるだけ早い目に自動的に公開される。
その時点で欧州調査報告書が出来上がっていれば同時に公開される。さもなければ調査報告書は別に後で公開される。
審査請求は欧州調査報告書公開後6ヶ月以内に行わなければならないが、追加費用を期間内に支払うことによって延長することができる。(欧州特許庁から審査請求に関する通知が届いてから1ヶ月以内)
VI 実体審査
a) 実体審査
この時点での審査は実体審査と呼ばれる。審査官は出願特許が欧州特許条約の定める特許の要件(開示が十分になされているか、新規性があるか、自明ではないか等々)を満たしているかについて審査する。審査官は必要とあれば何度でも出願人に必要な回答をしたり請求項や説明部の補正をするよう要求する。審査官から大体一回または二回の正式回答を要求する通知が来るのが普通で、出願人は期限までに回答をしなければならない。また補正は出願公開された明細書に基づいて行う。新規事項の追加は認められない。
審査官からの正式通知に期限内に出願人が回答をしないとその出願は取り下げられたとみなされる。ただし定められた期限までに追加費用を支払って審査の続行を請求することが可能である。
b) 分割出願
出願特許が発明の単一性についての基準(欧州特許条約82条)を満たしていない時、出願はひとつの発明だけに限られるか単一性を確保できる発明群に限定するよう要求される。残りの発明部分については分割出願をすることが可能である。
分割出願には元々の欧州特許出願の出願日が確保される。また分割出願の指定国は元々の出願における指定国と同じでなければならない。
分割出願がいったん提出されれば、その後の手続きは一般の出願と全く変るところはない。
分割出願は、審査官の指導に拠らず、出願人の自発的な決定によって行うことも可能で、欧州特許規則51(4)条に従って、付与特許として登録される明細書の最終文面案に出願人が承諾するかどうか審査官が通知する段階までその可能性を留保できる。特許交付後の分割出願は行うことができない。従って異議審査中の分割は不可能である。
c) 欧州特許の付与
特許付与が可能となったと審査官が判断すると、審査官は欧州特許規則51(4)条に従い、欧州特許として登録される明細書の最終文面案を出願者に送付し、出願人がその内容に同意する場合には特許交付料金と印刷料を払いクレームを他の2公用語に翻訳するよう通知する。(審査段階で要求されていなければ、同時に優先権書類の翻訳を提出することを忘れてはならない、)
その後欧州特許交付決定が出される。
但し付与決定が有効になるのは欧州特許広報に特許交付の旨掲載された日からであることに注意を払う必要がある。
VII 指定国内特許として登録する手続き
欧州特許付与公開をもって出願人は全ての指定国における特許保護を得ることになるが、各指定国の特許庁に定められた期限までに指定国国語に欧州特許を翻訳しなければその国における欧州特許は無効となる。
翻訳期間は欧州特許条約加盟国のほぼ全部が特許付与公開後3ヶ月以内としている。例外はアイルランドで6ヶ月以内。
但し欧州特許条約65条は、加盟国が、欧州特許の国内登録にあたって公用語への翻訳を必ずしも要求しなくてもよい可能性を与えている。リュクセンブルグ、モナコは公用語への翻訳を要求していない。
いわゆる“ロンドンプロトコール”- 欧州特許の指定各国への登録にあたって各国語への特許明細書の翻訳がもはや必要でなくなることを取り決めた合意書 を最近いくつかの加盟国が批准した。この合意書発効の時期や、どの国において適用となるのか、についてはまだはっきりしたことはわかっていないが、近い将来欧州特許の翻訳費用が現行よりはるかに少なくて済むようになるのは確かである。
VIII 異議手続き
特許付与公開から9ヶ月以内であれば、何人も、欧州特許庁に異議申立てを行うことができる。
異議申立ては書面で行い、異議申立て費用を支払う必要がある。
但し、異議申立てが受理されるのは下記のいずれかの理由がある時のみである :
-付与された特許は欧州特許条約52条から57条の内容に照らして特許の要件を備えていない。
-特許付与された発明は、発明分野の相当の知識を持つ者(当業者)が実施できるように十分にまた明確に開示されていない。
-付与された特許が出願時明細書の内容を越えている、あるいは付与された特許が欧州特許の分割特許であるとき、元々(先出願)の出願特許の明細書内容を越えている。
異議申立人(場合によっては複数)は、該当欧州特許権者とともに異議手続きにおける当事者となる。また、該当欧州特許を基に侵害訴訟を起こされた第三者は、上記期間中(特許付与公開から9ヶ月)に異議申立てをしていなくても、侵害疑義者として訴訟を起こされたことが明らかになってから3ヶ月以内であれば、そして異議手続きが誰かによって取られていた場合には、その異議手続きに途中で当事者として参加できる。その為には訴訟がおこされた証明を提出しなければならない。
欧州特許庁異議部は異議審理中、当事者間の申立て内容に対しそれが必要なだけお互いのコメントを出すよう、また異議部からの質問に答えるように両当事者に促す。
異議部の決定は次の3通りに分かれる。
1/異議が受理可能で異議部が異議申立ての根拠が正当であると判断すれば、付与された欧州特許は取り消される。
2/その逆に異議部が異議申立てには根拠がないと判断した時には、付与された欧州特許はそのまま維持される。
3/異議審理中に欧州特許権者が内容の補正を行い、この補正された特許を維持すると異議部が決定した場合には、特許権者は印刷費用を支払い、補正された欧州特許が公開される。この補正は指定各国語に再び翻訳されて指定各国特許庁において登録される。
IX 抗告手続き
欧州特許庁の受理課、審査部、異議部、法務部がなした決定に対し欧州特許庁抗告廷に不服申立てを行える。
決定が意に反するものであった場合には、その決定を受けた当事者なら誰でも抗告ができるが、それぞれの決定に際し定められている期限までに抗告手続きをとらなければならない。
異議手続きと同様、両当事者は、当事者間の不服申立てにそれそれコメントをするようにまた抗告廷からの質問に回答するよう促される。
抗告廷が出せる審決内容は次のいずれかである :
1/抗告申し立ての内容を却下する
2/あるいは申立て人が不服としている決定を出した部課に差し戻して決定を再検討するよう要請する。その間抗告廷は審決を延期する。
法律上の重要な問題が抗告廷あるいは不服申立て当事者から抗告廷審理中に提起された場合、問題は大抗告廷で審議される。
X PCT国際出願が広域特許条約である欧州特許に入る時
欧州特許条約加盟国のうち、ベルギー、キプロス、フランス、ギリシャ、アイルランド、イタリア、モナコ、オランダの各国は、PCT経由の国内出願を受け付けず、まず広域特許である欧州特許付与を得ることを義務付けている。それ以外の欧州特許条約加盟国についてはPCT出願時に国別に指定するか、広域特許としてEPを指定するかの選択が可能である。PCT国際出願は、国際予備審査を優先日から19ヶ月以内に請求したか否かに関わらず優先日から31ヶ月目迄に欧州特許庁に入って処理が開始されなければならない。
アルバニア、クロアチア、リチュアニア、ラトビア、マケドニアの各国(欧州特許条約拡張適用国)についてはPCT出願時に欧州(EP)を指定していても、欧州特許条約加盟国ではないので有効とはならない。PCT出願時に国別に指定することが必要である。
PCT国際出願が欧州特許庁に入る時に必要な書類は次の通り:
-PCT出願願書
-PCT国際出願が欧州特許庁の公用語以外で出願されている場合には公用語3カ国語のうちの一つに以下の書類を翻訳すること :
*PCT出願明細書(説明部)及び請求項
*国際受理官庁においてなされた請求項の補正(もしあれば)と補正理由を説明した書類(PCT条約19(1)条)
*図面に記載の説明文
*発明の要約
*国際予備審査報告書の添付書類(PCT条約36(3b)条)(コメントと請求の範囲)
*微生物に関する指摘(PCT条約規則49.3及び76.5)
*訂正要求 (PCT条約規則91.1f)
終わりに
欧州特許条約のもとで出願者は、欧州特許庁あるいは(欧州特許加盟)国内特許庁に出願するか、あるいはPCT国際出願の際に欧州特許庁を指定するか、いずれかにおいて欧州特許出願ができ、出願後、単一の審査手続きを経るだけで複数の欧州の国における特許保護を得ることができる。
欧州特許は、付与されれば指定された欧州の国々において等しい効果を持つ特許として登録される。また欧州特許は加盟各国において直接出願される国内特許と全く同等に扱われることが加盟各国国内法によって保証されている。
欧州特許が指定国において特許として登録される際にはその国の公用語への翻訳が必要だが、欧州特許が交付されることがわかる段階までは翻訳費用の発生を抑えることができる。また近い将来ロンドンプロトコールが発効することにより、欧州特許条約加盟国の一部では欧州特許が各国特許として登録されるにあたって明細書の翻訳が全く不必要となる予定である。
欧州特許が交付される段階で出願者は、あらかじめ指定しておいた国々のうち一部の国で特許保護が不必要と判断した時にはそれらの国の指定を取りやめることも可能である。
© Cabinet Beau de Loménie 2004年8月
翻訳 渡辺恵子
上へ
|