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2004年4月29日付け欧州指令:EUの知的所有権侵害行為との戦い

知的所有権尊重に関する2004年4月29日付け欧州指令2004/48/ECは、欧州市場内での知的所有権侵害行為、海賊行為に対抗するための欧州委員会による1998年発行グリーンペーパーの到達点である。

同指令は欧州連合の本来の目的である商品の域内自由流通と知的所有権との均衡を図ろうとしている。また知的所有権の行使及び侵害者への罰則に関するEU加盟国各国の法律を調和させることを同指令は目指している。

指令は、EU市場内に均一に適用されかつ均衡の取れた知的所有権保護を可能にするため、TRIPS合意に沿って知的所有権を尊重させると述べている。

指令は5章からなる。第1章は指令の目的と適用分野、第2章は知的所有権侵害に対抗するに必要な規定、手続き、罰則ついて、第3章はEU加盟国が採用できる罰則規定について述べている。

第1章は、本指令の各国法への導入にあたって知的所有権行使について国内法が指令以上に知的所有権者に有利な法律を備えているときは変更にあたらないこと、本指令は各国法の刑事法及び刑事罰については関与しないこと、を述べている。

第2章の規定、手続き、罰則に関する規定のあらましを以下に説明する。

EU加盟国が導入する規定、手続き、罰則は均衡がとれて公平なものでなくてはならず、複雑すぎたり、それによって一般の商取引に対する障壁を形成する結果となってはならない、としている。(第3条)

知的所有権の行使は知的所有権者だけでなく、ライセンスによる実施権者にも開かれる( 第4条)。フランス知的所有権法は既に独占ライセンシーにこの権利を与えている。

知的所有権侵害証拠保全に関する裁判官の権力の強化、暫定禁止命令の簡素化、裁判所による侵害差し押さえ命令などについて規定している。(6条-9条)それによると差し押さえによって得られた証拠は31日以内に知的所有権者が訴訟に入らない場合、あるいは差し押さえ願いが根拠のないものであることが判明したときには無効になる。

第8条は、情報開示権、というフランスにとっては新しい原則を規定している。知的所有権者の訴えが正当であると認めたとき裁判所は、直接間接侵害疑義者に商品の出所及び流通経路に関する情報を開示するよう命令できる、としている。

また銀行口座明細や会社会計帳簿などは資料が公開されないことを条件として開示を許可される。

ただし、これらの措置の対象は“商業的スケールにいる者”に対して可能であり、善意で侵害品を使用している最終消費者は含まれない、としている。(前文14)

本裁判で侵害行為があると認められたときには裁判官は威嚇罰則付きの訴訟行為の続行禁止(第10条)、及び賠償金額の認定ができる。損害賠償額は逸失利益を含むあらゆる側面の損害を想定できるとしている。侵害者によるその他の不公正に得られた利益も、精神的損害と含めて認定されることが可能(13条1.a)。あるいは代替的に、例えばライセンス料率を基礎に認定することもできる(13条1.b)。さらに侵害行為であることを認知しない善意の侵害者には損害額そのままの返還または一定額の支払いを命じることができる(13条2)。

侵害認定判決の新聞等による広告(第15条)、やその他の民事罰則、行政罰則などは加盟国の自由裁量に任されている(第16条)。

EU加盟各国は、本欧州指令施行日(2004年6月2日)より2年以内に指令内容に国内法を整合することを求められている。

フランスも指令内容を分析の上必要な法改正が行われることになろう。侵害差し押さえや、暫定禁止、損害賠償の規定は既にフランス知的所有権法に存在しているが、情報開示権や非独占ライセンシーに知的所有権行使の権利を与えるように考慮がなされると思われる。


Sylvie Mandelbaum © Cabinet Beau de Loménie – Septembre 2004



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