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フランスの意匠保護について《新法制定》

EU(欧州連合)内商品の自由流通及び自由競争を促進するという目的に沿って、EU議会とEU委員会は意匠保護に関する各国法律を調和させるためEU指令を出し(意匠保護に関する1998年10月13日付EU指令98/71)、遅くとも2001年10月28日までに加盟国に同指令にあわせて国内法を改正するよう要請していた。

フランスは2001年7月25日付政令によって(2001年7月30日施行)、上記EU指令に従ってフランス知的所有権法の意匠保護に関する部分を改正した。改正内容は以下の通り。

保護期間の変更

意匠の保護期間は出願日より5年間有効で、5年毎最高25年までの有効期間の延長が可能である(513-1条)。但し2001年10月1日までに登録された意匠の保護期間は出願日より数えて25年で、更新は不可能である。

意匠の権利は登録によって発生するが、意匠の著作権法による保護も存続する

新条項511-9条は次のように述べている。《知的所有権法第V部で与えられている意匠保護は登録によって獲得される》。旧法511-2条はこれに対し《意匠権はそれを創作した者及びその遺産継承者に属する。が、意匠登録をした者は、他の者が証拠を示して、自分が意匠の創作者であると宣言するまでは、意匠の所有権者である》と意匠権は創作者であることを宣言できる者に与えられていた。(旧法/意匠権は宣言によって発生する)

一方で、新法511-9条は、《登録によって意匠保護を受けている者には、該当意匠の創作は登録より以前に自分が行った、という証拠を示すことができる者がない限り、(登録者に)保護が与えられる》と続けているので、今回の法改正後もフランスでは、意匠の本来の創作者は、意匠登録を先にしていなくても、創作が登録より前に自分が行ったものであることを証明できれば、著作権を行使することによってその意匠の所有権を主張できる。(意匠の著作権法による二重保護の維持)

所有権返還訴訟

新法511-10は、意匠権が不正取得、法律違反あるいは契約違反によって登録されたとみなすものは誰でも意匠権返還要求の訴訟を起こせるとしている。

保護の対象

新法511-1条では意匠権によって保護されるものの定義がEU指令と全く同じ表現を使ってなされている。それによれば、意匠権保護の対象は、商品あるいは商品の一部の外観であって、保護されるのは特にその輪郭(Lines)、曲線的輪郭(Contours)、色彩、形状、組成物、素材である。

新法511-2条では、意匠が保護されるための基準を設けている

それによれば、“意匠は新規でまた独自の性格を持つものでなければならない”とし、この二つの基準を同時に満たさなければならないことが定められている。

意匠は時間的制限と地理的制限なしに新規でなくてはならない。このいわゆる絶対的新規性は、法改正によって、意匠登録出願時あるいは優先権主張時にその意匠が絶対的に新規であることを必要とする。また開示された意匠にわずかの変化を加えただけの意匠は新規であるとはみなされない。(511-3条)

新法511-6条は、第三者による意匠の先行使用や公開による新規性の喪失ばかりでなく、意匠創作者自身が公開することによる新規性の喪失も加えている。

但し、創作者自身が登録時(優先権主張時)から遡ること12ヶ月以内に行った意匠の公開はこの限りではない。(新規性喪失の例外の導入)

また、EU市場内の該当産業部門での専門家が行う日常の業務方法で先行使用や公開が行われたにも関わらず、使用公開された意匠が公衆に十分に知れ渡らなかった場合も開示があったとはみなされない。ここでいう公衆とは、明示的にも、暗示的にも、職業上の秘密によって拘束されていない人を言う。

このようにして、上記の絶対的新規性についての基準が本条によって緩和されている。
“該当産業部門での日常の業務方法”及び “EU市場内の該当産業部門の専門家”という概念もフランスでは新しく導入されたものであり、これら表現の定義には欧州裁判所の管理の下、フランス裁判所の判例に待つことになる。

二番目の基準である独自の性格、については511-4条が次のように定めている:

 《意匠登録時、あるいは優先権主張時に、眼識のある者からみて、その意匠全体の印象が既に存在している意匠とは異なると判断されること》とある。

新規性の基準とは異なり、《全体的に見た印象》も《眼識のある人》の表現とも多分に主観的なものであり、これら表現の定義にはフランス裁判所の判例を待たざるを得ない。

意匠保護の対象外となるもの

511-7条と511-8条は保護の対象外となるものとして、

  1.  公序良俗に反する意匠
  2. 外観そのものが商品を機能させるのに不可欠なもの(に関する意匠)
  3. 意匠の対象となっている部品が複合的製品の結合部品であって、結合機能を果たすのにそのサイズと形でなければならないとき。

しかし、モジュール積み木(レゴのようなおもちゃ)の結合部品のように取り替えの効く製品に対し取り外し、取り付け可能な結合部品の外観は意匠保護が可能である。


意匠出願手続き

出願手続き自体は今までと変更がない。新規性に関しても、独自の性格の有無に関しても従来通りフランスでは審査は実施されない。512-2条では、商品のモデルチェンジを頻繁に行う産業部門に対する簡易出願制度が従前通り維持されている。が、出願制度の詳細を定める政令はまだ発令されていない。

意匠無効訴訟の導入

512-4条では、無効訴訟の根拠となる行為が挙げられている。それらは意匠保護に関する法律に違反した場合、あるいは他人の著作権を侵害した場合だけでなく、意匠の中に識別可能な標識、例えば先行商標を使用した場合にも無効訴訟の根拠となることを規定している。

更に、無効訴訟は当事者によってばかりでなく、公権によっても起こされることがあることを規定している。

意匠の全部または一部の無効を決定した裁判所の判決は絶対的効力を持ち、フランス特許庁意匠登録簿に登録される。

意匠権譲渡の登録

513-3条では登録意匠権の変更や譲渡はフランス特許庁意匠登録簿に登録されなければ第三者対抗の効力を発揮しない、と規定されている。

意匠独占権及ぶ範囲 《意匠権の消尽》

意匠登録によって、意匠権者は、第三者が許可なくその意匠の製造、製造の申し出、販売、輸入、輸出、使用、あるいは前期の行為を前提とした所有、の行為をすることを禁止できる。(513-4条)ただし、その意匠が商業的目的なしに所有されているとき、実験的に使用されるとき、また、教育的目的で使用されるときは、それの行為にあたって、意匠権と意匠権者が明記されていれば意匠権の侵害にはあたらない。
また、意匠権者が欧州経済圏《European Economic Area》に自ら、あるいは自ら許可して意匠を置いた場合は、その意匠に関する独占権は消尽したとみなされる。

外国人による意匠権保護の享受についての条件は今まで通り
513-8条には、《EU加盟国あるいは欧州経済圏のいずれにも居住地を置かない外国人は、その国の法律が意匠に関して相互保護を認めているならば、本法律の定める意匠保護を受けることができる》と規定されている。

©Cabinet Beau de Loménie/October 2001



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