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共同体商標
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共同体商標発足までの経緯
ローマ条約加盟国であり、欧州経済共同体=EEC(現在の名称は欧州共同体=EC)を発足させた欧州12カ国は、"欧州一体化をめざして更に前進する為に"、1992年2月7日マーストリヒト条約に署名して欧州連合=EUを発足させた。
1995年、オーストリア、フィンランド、スエーデンが新たに欧州連合に加盟し、上記12加盟国に加わった(ドイツ、ベルギー、デンマーク、スペイン、フランス、ギリシャ、アイルランド、イタリア、リュクセンブルグ、オランダ、ポルトガル、英国)。
欧州連合はこうして、人口3億6千7百万人、面積3.241.000平方キロメートル、国民総生産5兆8千億ドルを越え、米国や日本の国民総生産を凌駕する規模を備えた。
共同体商標の狙いは、企業に、そのサービスや商品に使用している商標について、欧州連合内で均一にその価値が認められる商標権を提供することにある。その為には欧州商標庁に商標を出願することにより、唯一の手続きによって、今や世界でも最も重要な経済圏となった欧州連合全体において等しい保護を受けられる商標登録を実現しなければならなかった。
共同体商標の構想は30年も前から存在していたが、やっと1993年12月20日になってEU委員会規則の形で共同体商標の実現化がまとまった。こうして共同体商標は、1996年4月1日から実際に出願が可能となったのである。
欧州連合国別商標
15カ国、13の商標法、13の商標庁、13の手続き、13人の代理人
*ベルギー + リュクセンブルグ +
オランダ=ベネリュックス3国は一つの商標庁一つの商標法を実現している。a
共同体商標(欧州連合商標)
欧州連合加盟国15カ国、統一された共同体商標に関する規則、
1つの欧州商標庁、1つの手続き、1人の代理人
共同体商標によって欧州連合各国国内商標制度は廃止されるのか?
答えは否。共同体商標権は加盟各国の商標権に取って代わることはできない。何故なら、欧州連合全体における商標の保護を希望しない企業に対しても共同体商標登録を義務付けることをEU委員会規則は定めていないからである。欧州連合より狭い範囲での商標登録を企業ができるように各国商標制度は必要である。
但し、1988年12月21日、欧州共同体商標法指令が加盟各国の国内商標法の調和を目的として発令されており、それによると、加盟各国が特に商標権の獲得とその保護について指令内容に沿って国内法を変更することを義務付けている。
共同体商標に出願資格を持つのは誰か?
共同体商標の門戸は広く、パリ条約加盟国あるいはWTO(世界貿易機構)加盟国国民なら誰でも出願できる。
どこに出願するのか?
- スペイン、アリカンテに設けられたOHIM(欧州連合市場調和機関)(商標、デザイン、意匠を取り扱う)本文では便宜的に共同体商標庁と呼ぶ。
あるいは、
- 各国商標庁に出願してもよい。その場合各国商標庁は出願日より2週間以内に共同体商標庁へ出願を転送しなければならない。各国商標庁出願日が共同体商標出願日として扱われる。
出願にあたって代理人は必要か?
欧州連合居住者なら代理人の選定は義務ではないが、出願手続きが複雑なこともあり代理人を任命することを希望する場合はもちろん認められる。
また、欧州連合非居住者は出願にあたって代理人を任命することが義務付けられている。
この代理人は、共同体商標庁代理人簿に登録されている者の中から選ばなければならない。
共同体商標の登録要件とはなにか?
"図形として認められる全ての記号"ならば共同体商標として認められる。記号とは例えば、人名を含む言葉、デッサン、文字、数字、また伝統的な意味での記号、この中には、音からなる記号も含まれる、を指す。
商標は識別が可能なこと及び混同を生じないこと(絶対要件)が必要で、更には欧州連合各国商標あるいは共同体商標に既に登録されているものでないこと(相対要件)が必要である。
共同体商標として登録しようとする商標が既に欧州連合内のいずれかの国で登録済みの場合、古参権(seniority)を主張できるのか?
その通り。これから共同体商標として出願しようとする、同一の商品(単数または複数)またはサービス(単数または複数)に関する商標と同一の商標を、既に欧州連合加盟のいずれかの国(単数または複数)において、登録済みである場合は、該当する国において古参権(seniority)を主張できる。
この古参権(seniority)の主張は共同体商標出願時に行っても、また共同体商標登録後に行ってもよい。この手続きによって元々その商標を登録した(欧州連合内の)国において商標の更新手続きをすることなく各国における各国商標としての商標権を同時に確保できる。
国内商標登録について優先権を主張できるか?
できる。パリ条約加盟国あるいはWTO(世界貿易機構)加盟国においてなされた商標登録出願日から6ヶ月の優先期間が認められている。
共同体商標登録までの手続きは?
- 審査
共同体商標庁は商標登録要件に関する絶対拒絶理由に照らし、出願商標が受理可能かどうかについて審査する。
- 調査
共同体商標庁が共同体登録商標について調査書を作成する。欧州連合加盟国のうち自国に登録されている商標についての調査書を共同体商標庁に通達することを決めた国は、その調査結果を、共同体商標出願コピーを加盟国商標庁が受理した日、から3ヶ月以内に、通達する。これら調査書(共同体商標庁のものと各国商標庁のもの)は出願者に連絡される。
- 公開
出願人が調査書を受け取ってから少なくとも1ヶ月経過後に出願商標が公開される。共同体商標庁は、出願公開の事実を調査書に挙げられた商標の所有者に連絡する。
- 異議申立て
出願商標公開後3ヶ月以内に、欧州連合各国の先行商標権者あるいは共同体商標の先行商標権者は、出願商標が共同体商標として登録されないよう異議申立てができる。
- 不服申立て
審査官、異議部門、商標及び法律部の管理、及び取り消し部門の決定については審判部に審判請求ができる。審判部の決定に対し不服のある場合は欧州裁判所に訴えることができる。
- 使用言語
出願は欧州連合11の公用語のうちいずれかで行う(ドイツ語、英語、デンマーク語、スペイン語、フランス語、フィンランド語、ギリシャ語、イタリア語、オランダ語、ポルトガル語、スエーデン語)。出願及び情報の公開は欧州連合の全言語(11)でそれぞれ行われる。また、共同体商標庁の公用言語はドイツ語、英語、スペイン語、フランス語、イタリア語の5カ国である。
更に異議手続き、無効及び取消し請求手続きに使用する言語として上記5公用語のうちの一つを選ぶことが義務付けられている。
共同体商標登録が拒絶された時はどうするか?
出願商標が拒絶されるか、取り下げられるか、あるいは共同体商標が無効となった場合、出願者は出願商標あるいは共同体商標を欧州連合内のいずれかの国(単数でも複数でも)の国内商標として出願しなおすことができる。この場合出願者は共同体商標出願日を国内商標出願日として確保できる。
共同体商標の存続期間は?
出願日より10年間であり、
更に10年毎に更新することが可能である。
共同体商標登録によって獲得できる権利とは?
登録によって、商標権者は、同一商品または同一サービスに関する同一または類似商品またはサービスの使用を禁止し、それら(同一または類似)商標の第三者による登録を妨害する権利を獲得する。また欧州連合内の著名商標に関してはそれが同一商品あるいは同一サービス以外で使用されてもこれを禁止できる。
但し、商標権消尽の原則に従い、共同体商標の商標権者は欧州連合内においてその商品を自ら、あるいはその同意のもとに市場化した時点で欧州連合内での商標権は消尽し、欧州連合内での商標権の第三者による使用を禁止できなくなる。
共同体商標侵害の訴えや商標権失効あるいは無効審判への反訴は、"共同体商標裁判所(複数)"において裁判される。具体的には欧州連合各国の地方裁判所、高等裁判所に相当する裁判所であって、各国はどの裁判所が"共同体商標裁判"を管轄するのか指定しなければならない。
また訴訟の裁判所管轄は、被告の居住地あるいは本社所在地、さもなければ、原告の居住地あるいは本社所在地、さもなければ、スペインの裁判所の順になる。また侵害が行われた国(欧州連合内の)の管轄裁判所に訴えることもできる。
共同体商標の所有者は第三者の商標権の使用について常に監視を怠ってはならない。何故なら5年間にわたって商標権が第三者によって使用されているのにそれを黙認したり、出願後の後発同一商標登録を5年間黙認した場合、無効を訴えたり、侵害訴訟を提訴できなくなるからである。
獲得した商標権を使用しなかった場合どうなるか?
5年間使用されなかった共同体商標に対しては、何人も(自然人、法人)も共同体商標庁にその商標の取消し願いを提出することができる。
ただし、欧州連合のいずれか一国で共同体商標を使用していれば、共同体商標は取消し対象とはならない。
商標権や商標権使用契約権の委譲があった時は共同体商標庁に登録すべきか?
するべきである。上記委譲は共同体商標登録簿に登録されて初めて法的に有効となるからである。共同体商標権は欧州連合全域で均一に有効であるので、その権利を欧州連合の一部の国においてだけ譲渡することは不可能である。商標権使用契約(ライセンス契約)の方は、この限りではない。
共同体商標登録に要する費用は?
共同体商標庁へ納める手数料は次の通り :
ECUS
- 出願手数料(調査書作成費用含む) 3区分迄 975 ユーロ
- 異議申立て手数料 350 ユーロ
- 登録手数料 3区分迄 1100 ユーロ
上記に代理人費用が加算される。また異議申立て費用は、敗者が負担することになっており、異議審査の結果、勝者に、商標庁が認定した異議手続き費用が返還される。
商標出願にあたって、国内商標か、共同体商標かどちらが得策か?
欧州連合の1国あるいは数カ国においてのみ保護が必要と判断する場合は国別出願をするほうが当然有利であろう。欧州連合のいずれか1国において、出願しても到底登録されそうにない障害が明らかに存在すると判っている時も国別出願を選択せざるを得ないだろう。また言語の点から国別出願が希望されることもあると考えられる。
その他の場合は、均一の効力をもつ共同体商標登録のほうが有利であると考えられる。既に述べたように共同体商標は、
- 単一出願
- 単一手続き、
- 欧州連合内での均一の保護
と言う特徴を持っており、また国別に出願した時と比べて、登録までに要する費用と時間の点で劣ることもない。共同体商標出願が拒絶された場合、逆に欧州連合全域にわたって保護が不可能となるという欠点も、出願日を確保したまま国別出願に切り替えられるという取り決めで補われている。
欧州共同体商標出願とマドリッド協定、マドリッド協定議定書との関連は?
マドリッド協定
国際商標(いわゆるマドリッド協定)出願とは、ジュネーヴにあるWIPO国際局に出願するだけで、国内に既に登録している商標の商標権者が、マドリッド協定加盟国の一部または全部の国のそれぞれに国内出願したのと同じ効果を与えるものである。
但し、欧州共同体商標と異なり国際出願は出願者が指定した国それぞれにおける登録手続きと指定国の商標法に従わねばならない点が大きな相違点である。
また、国際出願はマドリッド協定加盟国国民だけに開かれている。デンマーク、フィンランド、ギリシャ、アイルランド、英国など欧州連合参加国にもマドリッド協定に加盟してない国は多くある。
マドリッド協定議定書
マドリッド協定の運用を加盟国以外にも可能にする為マドリッド協定の議定書が制定され、欧州連合全加盟国の批准及び欧州連合という単位においても批准が予定されている。批准されれば、共同体商標の利点(均一の手続きと保護)と国際出願の利点(集中出願によって欧州連合全加盟国を指定できる)を組合わせることもできるようになろう。
欧州連合旗、星はいくつが正解?
欧州連合旗は1955年欧州委員会によって制定され、その際、欧州旗の象徴的意味について次のように定義が行われた。
"西洋の空の色を基本色とし、連合を意味する輪の形に欧州の民衆を象徴する星を配置する。星の数は、完全と完結を意味する12としこの数は不動とする。"
拠って、星の数は欧州連合加盟国数とも、1986年この旗と同じものを採用した欧州委員会ともその時の共同体加盟国数とも関係がない。
Gerard DASSAS - © CABINET BEAU DE LOMENIE
翻訳 渡辺恵子
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