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欧州特許条約/最近の改正及び予定されている改正について

目次

I. 欧州特許条約改正のための2000年11月20日外交官会議
II. ロンドンプロトコール(欧州特許条約65条付随合意書)
III. 欧州特許条約実施規則改正(規則107 108 25 51)
IV. 2002年6月の外交官会議
V. PCT出願:世界知的所有権機関と欧州特許庁間の合意



I. 欧州特許条約改正のための2000年11月20日外交官会議

欧州特許条約改正についての外交官会議が2000年11月20日から29日までミュンヘンで開催された。

条約改正案の内容は非常に広範囲にわたっていたが、最終的に次に述べる2点を除きほぼ全部の改正案が承認された。

改正にならなかった改正案のうちの一つは、特許を受けることのできない発明からコンピュータープログラムそのものを削除するという提案、もう一つは現行条約69条の解釈に関する付随合意書を変更して、均等の定義と出願書類(包袋)禁反言の法則を導入するという案であった。

今回条約改正の目的の一つは、TRIPs及び2000年6月2日にジュネーブで採択されたPLT(特許法条約)の内容と欧州特許条約の内容を整合させることにあった。

今一つの目的は、現行条約の条文の多くを、欧州特許庁委員会(Administrative Council)が外交官会議を開かずとも将来変更できるように、条約実施規則の方に移行するところにあった。

今回採択された改正条約が発効するのは、条約全加盟国のうち15カ国において批准手続きが終了してから2年後、あるいは全加盟国が批准し、批准書を提出してから3ヵ月後のいずれか早い方となっている。従って、改正条約の発効は少なくとも今から4年後になると予想される。

以下に条約改正の主な内容を紹介する。

I.1 特許を受けることのできる発明

現行条約52条(2C)に記載されている特許を受けることのできない発明のリストの変更、即ち同リストから少なくともコンピュータープログラムを削除することが提案されていたにも関わらず、この改正案は承認されなかった。これは大方の失望を買った。

これは、“オープンソース”を支持する小グループが、“コンピュータプログラムに特許性を認めた場合の市場経済に与えるインパクトについて現在欧州委員会が研究中である”ことを理由に改正阻止の圧力をかけた為である。よって、欧州委員会の研究結果が出るまではコンピュータープログラム自体を、特許を受けられない発明のリストから削除するかどうかの決定は得られないことが予想される。本件改正については、次回2002年6月の外交官会議でもう一度検討されるものと思われる。

しかしながら、欧州特許庁は52条(2C)を極めて出願者に有利なように適用すること、また現在ではプログラムを含む“コンピューター関連の発明”が欧州特許庁に出願されることは全く珍しくないこと、更には、(T1173/97、T935/97)決定以来、プログラムとそれを稼動させるコンピューターの間に正常な相互作用を超えた “技術的付加効果”が現れるならば、特許が交付されるようになったことをここに付け加える。

I.2 新規性の基準
I.2.1現行条約54条(3)と54条(4)は二重特許を排除することを目的としている。
今回54条(4)の削除が承認されたので、54条(3)にあてはまる欧州特許出願は、欧州特許条約加盟国全部において先行技術であるとみなされることとなる。(よって、現行条約実施規則23条(a)は削除される)
I.2.2現行条約54条は、化学物質あるいは化合物の第2あるいはそれ以上の治療的使用.に対しても特許保護が可能となるよう改正されることが決まった。

I.3 欧州特許条約69条の解釈についての付随合意書

条約69条の解釈に関わる付随合意書(特許発明の保護の範囲について定義している)を変更し、均等の定義と、発明の保護範囲を曖昧に制限するような内容の、出願手続き中のいかなる出願者による宣言も、保護範囲の限定とみなされる(出願書類(包袋)禁反言)との原則を盛り込むことが提案されていた。

この問題は改正案提案以前また外交官会議中も盛んに討論されたが、結局、発明の保護範囲の正確な限定にあたっては、“請求項に特に記載されている要素の均等物に相当する要素には当然の注意が払われるべきである”と変更することのみが決定された。

改正合意書には、“均等“についての定義も、均等物を裁量する時期(出願時か侵害時か)についての記載もなされていない。

I.4 欧州特許条約加盟国全部の指定

改正条約79条によれば、出願すれば欧州特許条約全部の国を指定したこととなる。新条項は「国の指定は指定料を必要とするかもしれない、また国の指定は交付までならいつでも取り下げることができる」、と規定している。欧州特許庁委員会(Administrative Council)は今後、条約実施規則を制定することで、国指定料支払義務を今まで通り維持するかあるいは取りやめるかをいつでも決定することができる。

I.5 大抗告局

I.5.1改正条約11条(5)によって、大抗告局における審査に欧州条約加盟国の外部判事(加盟各国判事)が参加できる法的根拠を与えることが決定された。I.5.2大抗告局は抗告局の決定を不服とする再審願いの受理決定についての責任を負う(欧州条約22条、112条(a))。不服再審願いは、抗告局審理に“基本的な手続き上の瑕疵があったか、抗告局決定に影響を与える刑事上の行為があったと認められる場合のみ大抗告局によって受理される。また、大抗告局審理中であっても、抗告局決定は執行され、停止されることはない。

I.6 保護範囲を制限する補正手続き

改正条約105条(a)から(c)によって、付与済欧州特許の保護範囲の補正願いを欧州特許庁に一括して行うことができるようになる。詳細は条約実施規則に定められる。

これによって、特許所有者の自発的願い出により、特許の保護範囲を制限することが可能となる。同請求は付与後、特許が異議審査中でなければ、存続期間中いつでもできる。

I.7出願日認定のための最低要件

出願日認定のための最低要件に関するPLT(特許法条約)の規定内容と整合させる為、欧州特許条約第14条が改正される。それによると、出願は、欧州特許条約の公式言語のいずれか一ヶ国語でなされるか、あるいは(日本語を含む)他の言語でなされた場合は、公式言語のうちいずれか1つの言語に翻訳されなければならないとされる。

従って、改正条約発効後は、いかなる言語による出願も可能となる。

また出願日認定要件(現行条約80条)に関する取り決めはPLT(特許法条約)5条と整合され、条約実施規則に移される。

I.8 欧州特許庁各事務局の地理的記載の廃止

ミュンヘン、ハーグ、ベルリン各地にある欧州特許庁各事務局を全体として“最良”の形で運営していく為、現行条約16条17条を改正し、出願受理セクションと調査部をハーグの欧州特許庁事務局にて行うという地理的記載が取り消される。

I.9 欧州特許庁委員会(Administrative Council)の権限

欧州特許条約と他の国際条約及び特許に関する欧州共同体法令とが常に整合した状態にあることを保障するため、欧州特許条約のうち特許法と施行法を変更できる権限を欧州特許庁委員会に与えるべく現行条約33条と35条が改正された。

I.10 優先権

条約87条(1)はTRIPs第2条と整合し、最初の出願をWTO(世界貿易機構)加盟国のうちの1つで行った場合もその出願は優先権を確保する、と改正された。
また、88条(1)にある優先権主張の為に必要な手続きに関する取り決めは実施規則の方に移される。原則的にはその内容がPLT及びPCTの規則と整合するよう改正されるはずである。

I.11 審査手続きと異議手続き

現行条約90条から97条、99条から110条、115条、117条、また119条から122条の各条項に定められている諸条件は実施規則に移される。この中には審査請求の時期的制限や失った特許権の回復に関する規定が含まれている。

一方、外交官会議において、数人の代表者から異議申し立て期間を短縮すべきだとの意見が出たにも関わらず、9ヶ月としている現行条約99条はこのまま維持される。

I.12 追加手続きと権利の回復について

欧州特許条約121条は改正され、(一旦出願却下とみなされた出願手続きの)追加手続きの可能性の範囲が広げられ、また欧州特許付与手続きの各種期限に間に合わなかった時の法的救済基準が加えられた。
122条も同じく改正され、追加手続きの可能性の範囲が広げられた。

I.13 出願に関する情報提供

欧州特許条約124条(1)は改正され、出願人が平行特許を別の国、あるいは別の広域特許庁に出願している場合、その出願内容を現行条約規定が要求している以上に詳しく提供するよう出願人に対し要請できることになる。

I.14 職業代理人

新条項134条(a)によって、欧州特許庁で手続きを行う職業代理人の法的特権を導入する権限を欧州特許庁委員会(Administrative Council)に与えることになった。この結果、欧州特許ならびに、例えば平行米国特許の並行特許に関し侵害訴訟がおきた場合、欧州職業代理人と顧客間の通信内容は極秘文書として扱われ開示不可能となることが期待される。

I.15 特別合意

新条項149条(a)が導入される結果、翻訳義務や欧州特許侵害紛争について、欧州特許条約加盟国間の将来の合意に備えた明確な法的基礎が確定する。


II ロンドンプロトコール (欧州特許条約65条付随合意書)

II.1 2001年6月29日、フランスは欧州特許付与に関する欧州特許条約第65条適用についての合意書、いわゆるロンドンプロトコールに署名した。

本合意書は欧州特許条約加盟国のうちこれに合意する国は2001年6月30日までに署名することを求められていたものである。

この結果以下の各国が署名した :ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、リュクセンブルグ、モナコ、オランダ、スエーデン、スイス/リヒテンシュタイン及び英国

この合意書が発効するには、フランス、ドイツ、英国を含む加盟国8カ国の批准(または加入)が必要である。

2003年初より以前の本条約発効はないと予想されている。

II.2 本合意書第1条は、“欧州特許条約加盟国の中で、欧州特許庁公式言語の一つを国内公用語としている国は、特許条約第65条第1項に定められている翻訳要求の適用を免除しなければならない”、としている。

例えばフランス、ドイツ、英国では欧州特許として付与された言語のまま各国特許となり翻訳の必要がなくなる。

一方、欧州特許庁公式言語の一つを国内公用語としない国は、公式言語の中からその国があらかじめ選択指定した言語で欧州特許が付与された場合、あるいはその選択言語に翻訳された場合、欧州特許条約第65条に定める翻訳要求の適用を免除しなければならない。

即ち欧州特許庁の公式言語を国内公用語としない欧州特許条約加盟国は3ヶ国語(英/仏/独)のうち少なくとも1つを選択指定し、その言語で付与された欧州特許に関しては翻訳要求を放棄しなければならない、ということである。

例えば、特許条約第65条適用のため、スエーデンが英語を選択指定したと仮定すると:
-英語で付与された欧州特許がスエーデン国内特許となるときには、翻訳は免除される。
-しかし、フランス語あるいはドイツ語で付与された欧州特許は英語へ翻訳することが必要となる。

但し例えばスエーデンのように欧州特許庁公式言語のいずれの言語も国内公用語としない国は、付与特許の請求項部分の国内公用言語への翻訳を要求することができることに注意するべきである。

合意書第2条によれば、合意書加盟国は、欧州特許に関する侵害紛争にあたっては、特許権者自らの費用においてその国の公用語に欧州特許を翻訳しなければならない、と規定できる、している。


III 欧州特許条約実施規則改正

欧州特許庁はPCTの調査/審査官庁でもあるため、膨大な量のPCT出願の処理に追われ、本来の業務である欧州特許付与業務に支障が出ている。

特に、単なる時間稼ぎのために多くのPCT出願人がPCT第II章の規定である国際予備審査を欧州特許庁に請求することがよくある。

単なる時間稼ぎのため、国際予備審査を請求するPCT出願人は大抵の場合、欧州特許庁審査官の国際予備審査第一回目の意見通知書に回答をしない。従って、予備審査報告書には第一回目通知書の審査官意見がそのまま繰り返されることになる。

そういうPCT出願人は広域特許として指定したPCT出願が欧州特許庁に入るときにも上記の意見書/予備審査報告書を受けて自主補正を行った上で出願を届けることはしない。

よって、欧州特許出願としてその出願を審査する欧州特許庁審査官は再び上記の意見通知書で提起された予備審査官意見と同じものを繰り返して通知しなければならない。

欧州特許庁委員会(Administrative Council)は上記の問題緩和の為、実施規則のいくつかを改正した。(下記.III.1からIII.3参照)

その他にも特に特許付与手続きの期間短縮をめざし、また出願人に分割出願をしやすくできるように実施規則が改正された。(下記III.4参照)

III.1 実施規則107(1)の改正

欧州特許庁は今後全てのPCT出願に関して広域特許として欧州特許庁に入るまでの期間を一律31ヶ月とする。

換言すれば、広域特許としてPCT出願が欧州特許に入るときには、PCT条約39条(1)の利益を得るためにPCT条約31条に規定されている国際予備審査を請求する必要がなくなるということである。

つまりPCT出願者に認められている国際予備審査を請求しない(あるいは請求する)権利は、広域特許庁としてPCT出願が欧州特許庁に入る時は、優先日から31ヶ月まで維持されるということである。

2001年10月にPCT総会でPCTに関して上記と同様の改正が決定された。PCT22条(1)に定められている国内相への移行期限は優先日から20ヶ月から30ヶ月に変更された。本改正はPCT加盟各国において、国内法変更手続きが不要な国については2002年4月1日より有効となる。但し、国内法改正手続きが必要な加盟国の上記期限変更の施行日がいつになるかわからない以上は、欧州特許庁以外への国内移行を30ヶ月まで伸ばすには国際予備調査請求が必要な国もいまだにあることを忘れてはならない。

欧州特許条約実施規則107(1)及びその改正文は添付資料として末尾に掲載している。(注 英文のみ)

III.2 実施規則108の改正

実施規則108の改正もPCT出願の広域特許としての欧州特許庁段階への移行手続きを簡単にするものと思われる。

(即ち、改正規則によれば欧州特許庁へのPCT出願の移行にあたって、)翻訳文の未提出、期限以内に審査請求をしなかったとき、広域特許庁出願手数料の支払いをしなかったとき、調査費用の支払いをしなかったとき、指定国指定費用を支払わなかったとき、でもその旨の通知が欧州特許庁から出されてから2ヶ月以内ならば、追加費用を支払い、求められている手続きを行えば、出願の権利を回復することができる。

現行規則は改正規則に比べ、例えば、翻訳は(もちろん国際予備審査を取得した上で)31ヶ月以内に欧州特許庁に提出されなければ、出願は無効となるなど、より厳しかった。これに対する回復措置は欧州条約122条によるしかなかった。また支払い期限を過ぎたことによる出願無効の回復には、実施規則82(a)と(b)の欧州特許庁からの督促通知から1ヶ月以内という特例措置しか設けられていなかった。

但し、改正実施規則108は、3年目の年金支払いについては(実施規則107(g))に従うので適用されない。出願人が同年金の支払いを怠った時には、従前どおり欧州特許条約86条に従って定められている追加費用とともに年金を支払う必要がある。

III.3 改正実施規則107と108の組み合せ効果

107と108を組み合わせると(PCTルートで欧州特許を出願する)出願人には例えば次の可能性が与えられる。

- いずれかのPCT受理官庁にPCT出願を行う(出願費用、調査費用、指定国費用 各費用の支払い)、
- 国際調査報告書を取得する、
- 優先期間から31ヶ月待つ(実施規則107(1))、
- 実施規則108条に規定のある(翻訳の提出、審査の請求、広域特許庁出願料支払い、指定国指定料金の支払い)などを行わずに欧州特許庁から未提出あるいは未払いの通知が来るまで待つ。(一般に、欧州特許庁は、通知を出すのに本来の期限から2ヵ月待つ。よって通知は33ヶ月目に来る)
- 通知が要求する期限(普通は2ヶ月)に提出や支払いを行う(よって約35ヶ月)
上記の如く約35ヶ月間、PCT出願に関し実際に支払うべき料金はPCT出願に必要な費用、即ち、出願、国際調査、及び指定国費用のみである。よって、広域特許としての欧州特許庁へのPCT出願移行後も上記の期間は、その他の費用は不要となる。もちろん、この仮定はPCTルートの欧州特許出願にのみ有効であって、PCTルートのその他の国への移行については、この限りではない。また出願人は(改正規則108の定める)追加費用を払わなければならないが、時間が稼げることは間違いがない。

改正実施規則107(1)と108は2002年1月2日に施行された。2002年1月2日現在出願中のPCT出願に関しては、現行実施規則107(1)のいうところの請求が有効になされていなくて、また現行実施規則107(1)いうところの期間が経過していなければ改正規則が適用される。

例えば、1999年7月2日に優先権を主張せずに出願されたPCT出願があると仮定すると、PCT条約39条の言う19ヶ月の期限は2001年2月2日に過ぎている。改正実施規則107によれば、出願人がその日かそれ以前に国際予備審査を請求していなければ、同出願は2002年2月2日までなら欧州特許庁に広域特許として移行できる。(第一出願日から31ヶ月)

III.4 その他の実施規則改正

実施規則25条
本規則は分割出願の可能な期限を定めている。
旧規則では出願人は、欧州特許条約実施規則51(4)に従い審査部の提案する査定特許明細書文面案について出願人が合意する日までなら分割出願が可能であるとされていた。

改正規則では元々の出願が欧州特許庁に出願中である場合分割が可能であるとなった。即ち分割は元の出願が特許付与される日まで可能となったわけである。

本規則改正は2002年1月2日に施行された。

実施規則51条
本規則は審査手続きについて規定している。特に51(4)と51(6)は付与前の審査最終段階を規定している。

改正以前の51(4)と51(6)によれば、審査部はまず51(4)の定めるところにより出願人に欧州特許として登録される明細書の最終文面案を通知、出願人がその内容に同意するかどうかにつき質問する。出願人が同意すれば審査部は更に2回目の、いわゆる51(6)規則通知によって、出願人に特許料と印刷料を支払い、請求項を出願言語以外の2ヶ国語に翻訳するよう要求する。

本改正によって上記2規則は一つにまとめられた。

改正51(4)によれば審査部は出願人に欧州特許として登録される明細書文面を通知すると同時に特許料と印刷料を支払い、請求項を出願言語以外の2ヶ国語に翻訳するよう要求する。出願人は料金を支払い翻訳を提出することによって付与されるべき明細書文面を承認することになる。

この改正によって通知が一回ですみ、審査期間が数ヶ月短縮されることになろう。

本規則改正の施行は2002年7月1日で、同日現在改正前の51(4)による通知が行われていない出願について適用される。


IV 2002年6月の外交官会議

欧州特許庁委員会(Administrative Council)は第2回目の外交官会議を2002年6月10日に開くことで合意した。

会議では共同体特許(案)について調整が図られるほか、欧州特許庁を欧州連合の“加盟国”の一つとみなして共同体特許と欧州特許の法的整合性を可能にすることが議題となる。

欧州特許委員会(Administrative Council)は近々共同体特許(案)の内容を吟味する。

外交官会議のもう一つの議題はコンピュータープログラムそのものを特許を受けることのできない発明のリストから除外するかこのまま維持するかどうかに関してである。(本資料I.1参照)


V PCT出願

V.1 世界知的所有機関(WIPO)と欧州特許庁(EPO)間の合意

本資料IIIで説明したように、欧州特許庁は、PCTが義務付けている(国際調査と国際予備審査の)期限のせいで膨大なPCT出願の処理を本来の業務に優先して行わなければならない問題に直面している。

特に欧州特許庁は欧州以外、特に米国で受理されたPCT出願の多くの調査及び審査官庁として指定を受けている。

1997年10月1日のWIPO/PCT間合意は2001年10月31日に改正され2001年11月1日から有効となった。これによってその国の特許庁がPCT官庁として承認されている欧州以外の国々(米国や日本)からのPCT出願については欧州特許庁がPCT官庁としての活動を限定する可能性が欧州特許庁に与えられた。

同合意書3(4)a(ii)条は欧州特許庁に以下のことができるとしている。
- PCT官庁として認められている(欧州以外の)受理官庁が受理したPCT出願の国際調査や審査を行わないこと
- あるいはそれらのPCT出願について年に一定の数だけあるいは特定の技術分野についてだけ国際調査や審査を行うこと
> 第一段階として、欧州特許庁は2002年3月1日より米国起源のPCT出願のうちバイオテクノロジーとビジネスモデル分野の国際調査と国際予備審査を、また電気通信分野において国際予備審査を行うことを取りやめる。

但し欧州特許庁は日本起源のPCT出願に関しては全ての技術分野の国際調査と国際予備審査を続行する。

V.2 欧州特許庁における国際予備審査の合理化

同じく欧州特許庁の作業緩和のため、同庁は2002年1月3日よりPCT第二章の国際予備審査を合理化(簡素化)する(2001年11月2日付欧州特許長官通達)

この結果欧州特許庁は国際予備審査に関し詳細な実体審査あるいは合理化(または詳細でない)実体審査のいずれかを実施するようになる。

簡単に説明すれば、出願人が請求項の補正を行わないとき、あるいは詳細な実体審査を請求(この請求は予備審査を請求すると同時に、あるいは出願が予備審査中であれば後からでも行える)しないとき、欧州特許庁は合理化(簡素)実体審査を実施する。合理化審査が実施されるときは国際予備審査料金の3分の2が払い戻しとなる。

最後に欧州特許庁からの予備審査中の書面による意見書、または(詳細/合理化)予備審査報告書は、新規性、進歩性、産業上の利用可能性、の3主要審査基準に照準をあてて行われる。明細書がわかりやすく書かれているかどうかなどのその他の審査基準に関しては主要実体基準を満たしているかどうかに関しそれらを審査することが肝要であると判断されない限り審査されない。

VI 添付資料として欧州特許条約の現行/改正文(54条、121条及び64条)及び実施規則107及び108の現行/改正文を添付する。(注/英文のみ)
改正条約の発効は、各国の批准を待ってから、また改正実施規則(107,108は) 2002年1月2日に施行されるので注意されたい。

Pascal MOUTARD - © Cabinet Beau de Lomenie 2002年1月
翻訳 渡辺恵子



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